Agentic AI(エージェンティックAI)とは?:2025年のトレンドとスタートアップの取り組みの最前線を徹底解説!

「Agentic AI(エージェンティックAI)」は今後さまざまな分野で大きな影響を与える可能性がある技術であり、今まさに注目度が高まっています。
本記事では、エージェンティックAIの重要性と活用のヒントについて事例を交えて解説します。


目次


 はじめに

近年、AI(人工知能)の進歩は飛躍的に加速しています。ディープラーニング(深層学習)により画像認識や音声認識の精度が向上しただけでなく、自然言語処理分野においても大規模言語モデルの台頭により、チャットボットや文章生成などが劇的に進化しました。こうしたなか、注目を集めている概念の一つが「エージェンティックAI(Agentic AI)」です。

従来のAIは受動的に動作するものが多かったのに対し、エージェンティックAIは自律的に思考し、判断し、行動まで実行できる“エージェント的”なAIという点が大きな特徴となります。

ユーザーが「ある商品の価格を定期的にモニタリングし、価格が下がったら自動で購入してほしい」とAIに指示した場合、AIが価格変動をモニタリングし、必要な処理を自ら行うようなシステムです。こうした「目的遂行型」のAIシステムは、業務効率化はもちろん、クリエイティブ分野を含めた多彩な領域にイノベーションをもたらす可能性があります。

一方で、エージェンティックAIの導入に際してはシステムの安全性・倫理面や、意思決定の根拠をどこまで“説明可能”にするかといった課題も存在します。特に学習データやアルゴリズムがブラックボックス化しがちな生成AI(Generative AI)の場合、「Explainable AI(XAI)」による説明責任の確立が非常に重要です。

こうした背景を踏まえ、本記事では「エージェンティックAIとは何か」をまず概観し、続いてMicrosoftやKEEN株式会社の取り組み、さらに活用事例や今後の展望をご紹介していきます。

エージェンティックAIとは?:一般的な定義

エージェント(Agent)の概念

「エージェンティックAI(Agentic AI)」を理解するには、まず「エージェント(Agent)」という言葉の意味を整理する必要があります。
もともとエージェントとは、環境から情報を受け取り、それを基に自律的に判断・行動を行う主体を指します。エージェントは人間に代わってタスクを実行でき、複雑な判断を行い、必要に応じて他のシステムと連携することも可能です。
従来からソフトウェアエージェントや知的エージェント、マルチエージェントシステムなどの研究が行われてきました。

エージェンティックAIの定義

一般的に、エージェンティックAIとは「AI技術を用いて、人間のように目的を認識し、自律的に行動する機能を備えたシステム」と定義されます。単なる推論エンジンやレコメンドシステムとは異なり、状況に応じて自身の行動戦略を修正し、最適なタスク遂行を行う点に特徴があります。これは受動的なAIではなく、より“能動的”なAIであるとも言い換えられます。

具体例

  • 自動運転車: 周囲の交通環境を認識し、経路を決定し、安全に走行する。必要に応じてスピードを調整し、障害物を避けるなど自律的に判断する機能が求められる。

  • 金融のトレーディングAI: 市況データをリアルタイムで分析し、利益を最大化するために自動で取引を行う。市場変動に合わせてアルゴリズムをアップデートし、自己学習する点がエージェンティックAIの典型例と言える。

  • 人材マッチングサービス: 企業や個人の特性をAIが分析し、求人・求職の最適なマッチングを行う。さらに、応募やスケジュール調整まで“自分で”やってくれるエージェンティックAIの導入が試みられている。

こうしたエージェンティックAIは、さまざまな業界・業務フローを大きく変革するポテンシャルを持っており、今後さらに注目されることでしょう。

MicrosoftのエージェンティックAIに対する見解

エージェンティックAIは、多くのグローバルIT企業が研究・開発を進める分野ですが、中でもMicrosoftは積極的に投資・研究を行っている企業の一つとして知られています。特に同社は、クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を通じて多様なAIサービスを提供しており、その延長線上としてエージェンティックなアプリケーション開発も視野に入っています。

2024年11月にアメリカ・シカゴで開催された「Microsoft Ignite」の発表をもとに、弊社独自でまとめました。

Microsoft 365 Copilotなどの取り組み

2023年にアナウンスされた「Microsoft 365 Copilot」は、生成AIを利用してOfficeアプリケーション上でドキュメント作成やメール返信などを支援する機能です。
既に日本国内の大企業でも活用されているCopilotはチャットや音声コマンドを通じてユーザーの意図を把握し、提案や自動化を実施します。
これは「ユーザーの指示を受け、自動でコンテンツを生成し、場合によっては提案を更新し続ける」という点で、エージェンティックAIに近いアプローチのひとつと見ることができます。将来的には、単なる“支援”にとどまらず、ユーザーが明示的に許可すれば「自分でタスクを実行できるAI」として進化していく可能性があります。

Microsoftの基本姿勢

Microsoftは、AI技術の発展が社会にもたらす恩恵を強調しつつ、その利用においては「責任あるAI(Responsible AI)」を掲げています。AIに搭載するアルゴリズムが公平性・透明性を保ち、プライバシーにも配慮されるべきという姿勢です。これはエージェンティックAIにおいても同様で、AIが人間の代わりに意思決定を行う領域が拡大するほど、透明性と説明責任が重要となるため、Microsoftはそうした課題に取り組む研究開発を進めています。

KEEN株式会社の取り組み:エージェンティックAIの活用とアプローチ

KEEN株式会社は、AIソリューションを軸に多彩な事業を手がけており、特にエージェンティックAIを活用した独自のサービス開発に取り組んでいます。

KEEN株式会社のビジョンとミッション

KEEN株式会社は、「さまざまなできない理由から人々を解放し、コミュニティの力で世界を変えるムーブメントを作る」というビジョンを掲げています。
人にしかできない仕事を追求していって欲しい。同社のミッションは、AIの高い専門知識を持つメンバーと共に、企業が抱える複雑な課題を解決し、さらに新たな価値創造に貢献することです。エージェンティックAIはまさに「課題解決を自動化・最適化する」技術であるため、KEEN株式会社の事業領域と高い親和性を持っています。

事例:KEEN界隈DB(データベース)での生成AI活用のアプローチ

KEEN株式会社のサービス「KEEN界隈DB」は、生成AIの技術を活用し、以下の点にこだわって開発をしています。

  1. カスタマイズ性の高いモジュール設計
    同社は独自のモジュール型AIフレームワークを開発しており、企業が求める要件に応じて柔軟に機能を追加・削除できます。機械学習やディープラーニングのモデルを再学習しやすい設計を取り入れ、運用段階での微調整も可能です。

  2. 人間との協働に最適化されたUI/UX
    エージェンティックAIの力を最大限発揮させるには、人間のオペレーターがAIの提案を理解し、適切にハンドリングできるUI/UXが不可欠です。KEEN株式会社は、可視化ダッシュボードや自然言語インターフェイスを高度にカスタマイズし、ユーザーがストレスなくAIと対話できる仕組みを構築していきます。

エージェンティックAIの具体的な活用事例

エージェンティックAIは多様な業界での活用が期待され、すでに一部の領域では導入が進んでいます。以下では、代表的な活用事例や可能性をいくつか紹介します。

製造業における生産管理の自動化

生産ラインの稼働状況や在庫データ、受注情報などをリアルタイムにAIがモニタリングし、最適な生産計画を“自ら”立案・実行するシステムが考えられます。生産上のボトルネックを自動で検出し、ラインの切り替えやメンテナンスの時期を調整することで、コスト削減と生産効率の最大化を同時に実現することが可能です。

コールセンター業務の高度自動化

カスタマーサポートの分野では、チャットボットや音声認識技術の活用が進んでいますが、よりエージェンティックなAIを導入することで、“問い合わせ内容から次の最適な対応を決定し、自動で作業まで実行する”段階へと発展できます。
たとえば、顧客が返品したい商品を受付けると、エージェンティックAIが在庫管理システムと連携し、必要書類の作成や返金処理、メール通知までを完結できるようになる可能性があります。

自治体・公共サービスでの住民サービス向上

自治体の窓口業務や行政手続きは、多くの場合ルールや書式が決まっており、AIが条件を満たせば自動的に処理を進めやすい分野とされています。たとえば、住民票の発行や補助金申請などの手続きをエージェンティックAIが代替することで、役所の窓口での待ち時間を削減し、人件費を削減しながら住民サービスを向上させることが期待されます。

医療分野での診断支援・リスク管理

医療現場では画像診断や患者データ解析などにAIが活用されていますが、エージェンティックAIによって診断だけでなく治療プロセスまで最適化する取り組みが進んでいます。たとえば、AIが患者の検査結果や過去のカルテ情報を自動で分析し、必要な治療計画を考案し、電子カルテに書き込む作業まで行う――そうした近未来が実現する可能性があります。

 エージェンティックAIの課題と今後の展望

課題1:説明可能性(Explainability)

エージェンティックAIは人間の意思決定プロセスを大きく代替することが想定されます。しかし、AIがなぜそのような判断を下したのかがブラックボックスであれば、トラブルや誤判断が発生した際に責任の所在が不透明になる恐れがあります。AI導入企業にとって、利用者や顧客に対して説得力ある説明を提供できる技術基盤(Explainable AI)が非常に重要です。

課題2:セキュリティとガバナンス

自律的に行動できるAIは、悪用されるリスクも併せ持ちます。不正アクセスやデータの改ざんが行われた場合、AIが誤った行動を“自発的”に取り続ける可能性も否定できません。したがって、アクセス制御やログ監査などのセキュリティ対策はもちろん、システム全体を常に監視し、異常が検知されたら素早く停止・修正できるガバナンス体制が求められます。

課題3:倫理・法的整備

エージェンティックAIは法的・倫理的にも大きな課題をはらんでいます。たとえば、AIが自動で契約行為を結んだ場合、その法的責任は誰が負うのか、といった問題が代表例です。こうした課題は技術開発だけでなく、法制度や社会の仕組みづくりとも密接に関連しており、国や業界団体などの広範な議論が不可欠となるでしょう。

今後の展望

エージェンティックAIの技術力は今後さらに高まり、ビジネス・社会生活に深く浸透する可能性が高いと予想されます。クラウドや5G/6Gなどの高速通信環境が整い、リアルタイムに膨大なデータを分析・判断できるインフラが充実することで、エージェンティックAIのポテンシャルは大きく拡がるでしょう。Microsoftのようなグローバル企業と国内スタートアップ企業が多角的に開発を推進することで、日本市場でも実用的で安心・安全なエージェンティックAIが普及していくことが期待されます。

 最後に

今まさに、AIは「推論やアシストを行うだけ」の段階から「目的達成のために自律的に行動する」新たなステージへと進化を遂げています。エージェンティックAIという言葉を聞く機会は、今後さらに増えていくでしょう。ぜひ、本記事で紹介したエージェンティックAIの一般的な定義や取り組みを参考に、みなさまの企業やプロジェクトにAIを導入する際のヒントにしていただければ幸いです。

企業がどのようにこの新技術を活用し、社会に還元していくのか。エージェンティックAIが切り拓く未来は、私たちの想像をはるかに超えて、これから加速度的に展開していくはずです。

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