植田成美(以下・Narumi):まず、Kazuhaさんの今までのご経歴を教えてください。小倉一葉(以下・Kazuha):学生時代は、理学部の物理学科で数値流体力学(流体シミュレーションを行う)研究室に所属していました。新卒で日本マイクロソフト株式会社に入社し、6年強勤務をしていました。マイクロソフトでは、パートナー企業向けのアライアンス業務のなかで、プリセールスエンジニアやBizDevを担当しました。例えば、マイクロソフトのクラウドサービスやMixed Reality製品の日本展開において、従来のソフトウェアパッケージ販売とは大きく変わってくる中で、新規パートナーの開拓に取り組みました。具体的には、従来のライセンス・パッケージ販売を行っていた代理店とのアライアンスに加えて、電通さんや博報堂さんといった広告代理店、またweb制作会社とのパートナー契約獲得に向けた業務全般を行っていました。自分でいつか事業を起こしたいといった思いがあり、子どもの頃から早く大人になって働くことを楽しみにしていたのを思い出します。両親はふたりとも教員をしており、生徒さんとのエピソードを話す姿を見て、働いて価値を生み出すこと、つまり、人やチームを導き、成長させること、そのサイクルを継続させて、「より良い未来」に挑戦することは、職業人生の幸福だと解釈していました。KEENが創業期から大切にしている「スタータレントを発掘・育成したい」という想いは、ここが原点なのかもしれません。また、祖父含む親族に経営者が複数名おり、自宅と職場が近くにある風景が自分にとって自然な営みに感じられました。大人に混ざって職場にいる時間がとても好きでした。一方で、田舎で生まれ育った長女として、一族経営の難しさを幼少期から間近で見聞きしていました。例え自分の子供であっても、創業者の想いに立ち返り事業継承することは困難そうであると肌で感じていました。そして私はマイクロソフトを退職後、プリズムテック合同会社(現在のKEEN株式会社の前社名)を創業して、今に至ります。Narumi:プリズムテックは現在KEENという会社になっていますが、まずはプリズムテック創業の経緯を教えていただけますか。Kazuha:プリズムテックは、私自身の「人生で一度はスタートアップを経験してみたい」という思いから始まっています。創業前、まずは自分がフリーランスとして独立して生計を立てられるか検証しようと考えていたところ、現在のKEENでもクライアントになってくださってる企業様やお客様から、「コミュニティを立ち上げたいのでサポートしてほしい」というありがたいお声をいただきました。前職でユーザー会・ユーザーコミュニティの運営経験があったため、コミュニティ立ち上げのサポートと規模の拡大を目指す業務を、まずはフリーランスとして請け負うことになりました。ずっと起業したいとは思っていたものの、会社を設立するには準備が必要なうえ、実際に自分一人で経営をすること自体にも様々な知識が必要で、徐々に準備しながら学ぶという状況でした。初年度は企業様のコミュニティを立ち上げ、メンバーを1000人にするという目標を立てスケールすることに取り組みました。具体的にはイベントの立ち上げ、コミュニティポータル(当時はFacebookグループなど)やSNSの運用代行などを実施。コミュニティはお客様ありきの取り組みですから、お客様との関係を構築してスター顧客を生み出していくために、積極的に接点を作ってヒアリングし、新しいイベントに登壇してもらうなど、お客様を巻き込んでいく必要がありました。しかし、これらのことは本来その企業のコミュニティマネージャーと協力して行うものですが、コミュニティマネージャー自体、国内でも新しい職種だったため、負荷が高くかなりタフな状態になってしまっていたのです。私はフリーランスとして自分ひとりでやっていく限界を早々に痛感しました。コミュニティの立ち上げは、正直、会社設立・事業立ち上げと同じくらい大変だと思います。しかも、会社は従業員に対して指揮命令権を発動できる一方で、コミュニティメンバーはお客様。お客様個々人がもつ、「ありたい姿」「やりたいこと」「目指したいビジョン」を共通化させるという難しさがあります。また、IT企業の平均勤続年数は4年程度と言われていますが、コミュニティは5年、10年と長期に続いていくものなので、それに伴走し続けて、辛抱強く結果を待たなければなりません。そんなことを課題に感じていたときに、クライアント企業の役員の方から「Kazuhaさんが得意とするところを中心に、Kazuhaさんをサポートできるような体制で会社を設立し、コミュニティを運営すればいいのではないか」とアドバイスをいただきました。それがプリズムテックの原型となっています。コミュニティという抽象度の高い現象に対し、そのサポート自体を会社・チームで請け負うという方向に、踏み切ることになりました。お客様のおかげで、法人を登記するステージに進むことができたのです。Narumi:続いて、その後新規事業となるKEENのサービスを作る過程についてお話いただきたいです。Kazuha:プリズムテックという法人を立ち上げてからも、これまでの事業を継続していました。プロフェッショナルな方々とチームになって、いわゆる労働集約的にコミュニティサポートをしていく中で、スケールするために人を増やさなければならないという状況になりました。当初から全て自己資金で経営してきたため、2年ほどは黒字の範囲で事業作りをしていました。ですがそれでは、主要事業はどんなに頑張っても売上に限界が出てくる感覚がありました。どうしたら大きな売上のビジネスを作れるのだろうと考える中で、「扱う商材を変えたら?」「方法を変えたら?」「そもそも、スモールビジネスがしたかったんだっけ?」「融資を受けてまでやるビジネスとは?」と自問自答しました。どうすればイノベーションを生み出すスタートアップになれるのだろうかと、休みの日は国会図書館に通い、スタートアップにまつわる本や論文を読むことで、スタートアップとはつまり何なのか、どうしたらなれるのかを学習したことを覚えています。なぜわざわざそんなことをしたのか。それには、2つの背景があります。ひとつは、起業時に合同会社を選んだがゆえに、スタートアップコミュニティ(とエクイティファイナンスの仕組み)から離れてしまったことでした。そして、これからスタートアップ化していくぞと思っていた2020年にコロナ禍に入り、スタートアップコミュニティ(主に投資家の方々)へのアクセスができなくなってしまいました。敢えて言葉を選ばずに言うと、信頼していいコミュニティがどれなのかが、一気にわからなくなってしまったのです。SEOで上に出てくる団体や、Twitterでバズっている人が、必ずしも自分と相性がいいとは限りません。オンラインでアクセスできるイベントはたくさんありましたが、自分がやりたい方法はどれだろう、誰とつながれば良いのだろうと頭を抱えていました。そうしているうちに図書館でたまたま出会ったのが、ZVC代表取締役社長の堀 新一郎さんが書かれた『STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか』という本です。その本には、起業家の方々がどのように事業を立ち上げイグジットしたのかのエピソードと、そして「Code Republic」というアクセラレーションプログラムについての説明がありました。Code Republicについて調べてみると、その当時の1週間後に締め切りがあり、「これは挑戦してみよう!」と取り組みました。もうひとつは、弊社に与えられたターニングポイントです。創業初期の主要メンバーは、同世代の女性3人で構成していました。その3人が、同じ年に妊娠・出産という大きなライフイベントを迎えました。とてもおめでたい話であり、そもそもプリズムテックという会社は「働き続けて自分の才能を発揮できるような場を作りたい」という考えを軸に、変わりゆくライフイベントも柔軟に乗り越えていきたいという想いで作ってきました。2020年末に合宿のために準備したメモ妊娠・出産は大きなミッションです。その人でなければできない妊娠・出産という大きな役割に、貴重な時間を使うべきだと思います。しかし、経営者として実際にその状況を前にすると、それは大きな壁になることがわかりました。私個人が思い描く「あるべき社会・会社の姿」と、経営者としての自分が感じた「事業が止まってしまう悔しさ」が同時に出てきて、それぞれギャップがありました。コミュニティマネージャーは比較的新しい職種であり、コミュニケーション能力を重視する職ですから、若手の方や女性も拝命され活躍できるチャンスが他業種よりも多い傾向にあります。(先述の通り)IT企業は長くても4年程度が転職のサイクルになっていることもあり、 コミュニティマネージャーの方が転職されることでコミュニティが停止し、企業としてはその情報資産や顧客関係という資産を一度手放すことになります。それはすごくもったいないと思っていて。ここに強く課題感を持ち、その時に定義したミッションを再解釈し、属人化を減らして事業を継続できる方法を考えました。自分たちが今まで持っていたノウハウや人間関係の資産をデータとして残していきながら、サステナブルに続く形でコミュニティを長く続かせ成長させていく方法を作り、属人化から脱したい。そこで生み出されたサービスのひとつが、「KEEN Manager」です。そして、自己資金を投下し、融資を受け、エクイティファイナンスをする。これまでとは違うゲームを始める意思決定をしました。これが、プリズムテックがスタートアップになる瞬間だったと振り返って思います。KEEN Managerは忙しいコミュニティマネージャーのみなさんのデータの蓄積・分析をより簡単にして、スターを生み出すお手伝いをするサービスになっています。このプロダクト自体、自分たちの会社としてのペインと似た課題がお客様のコミュニティにあることから生まれたといえます。実際に、産休明けのコミュニティスタッフがKEEN Managerを使うことで、コミュニティの状況をいち早くキャッチアップできるようになったとお声をいただいています。すごくうれしい事例です。Narumi:KEENという会社名に込められた思いを教えていただけますか。Kazuha:言葉としては、「鋭い」とか「熱心な・熱中して」という意味があります。プリズムテックだった頃から「KEEN」というワードはすごく大事にしていました。KEENなお客様に、コミュニティや挑戦の機会を通じて出会い、KEENな状況・状態・才能を持つ人を発掘し、魅力を引き立てられるようなチームでありたいということ。そしてチームメンバー自体も、KEENな人たちで構成したいと思っています。社名変更前の「プリズムテック」という社名は、プリズムという媒体が持つ特徴である光の波動性や粒子性といった物理現象をモチーフにしていました。言葉の響きとして、「KEEN」にも音波のようなイメージを持っていました。音叉を鳴らすと「キーン」という音がします。音が広がって共鳴し合い、他の人に届いてまた新しい音、新しい価値が生まれるイメージがあるので、大事にしてきたのです。Narumi:今のお話に出てきた「KEENな人たち」「KEENな状態」についてお伺いしたいと思います。KEENっぽいなと思う人、あるいはそう思う瞬間はどんなときですか。Kazuha:ロジカルさやスマートさなどはチームに必要な要素ですが、それ以上に、情熱的であることや、熱心であることをすごく大事にしています。ご飯食べることや寝ることを忘れて、 物事にひたむきに取り組める。「この人って、過集中気味だな」みたいなところが、私はKEENだなと思っていて。誰かのために、何か目標のために、それらに対して絶対に譲れない思いを、言葉にはしないながらも業務の中で出してくれている人たちのことをKEENな人だなと思っています。Narumi:似た質問を社員3名(Kazuhaさん、Shihoさん、Horiさん)にインタビューしてみて、皆さん「言葉にしないながらも……」とか、「見た目は冷静なのに……」と共通しておっしゃっているところが、面白いなと思います。Kazuha:そうですね。「言葉にしないながらも」ということは、行動や取り組む姿勢だけで他者の視点からでもわかるぐらい、熱心だということだと思うんですよ。逆に、言葉で言うだけの人は要らないということ。それは偽のKEENだと思うので。お客様に対する姿勢や社内に対しての言葉遣い、サポート、そしてリーダーシップといった1つ1つのことから、「この人はこんなに真面目に取り組んでいるんだな」と思える瞬間に、なんとも言語化できないけれど、そんな胸を熱くさせる人をKEENだと思っています。Narumi:KEENのフルタイムメンバーだけでなく、業務委託やハーフコミットのメンバー、そしてインターンのメンバーを含め、KEENのメンバーの印象・雰囲気についてお聞きします。一言で表すとどんな印象をお持ちですか?Kazuha:「geek」(ギーク)です。なにかの分野で熱中してたり、詳しかったりする人が多いかなと思っています。何かのサービスのスター顧客になれそうな人が、KEENの初期メンバーには多いというか。同時に、そんな人と採用活動の中で出逢いたいと思っています。採用面談では、「寝食を忘れて取り組んでいること、取り組んだ経験ってなんですか?」とか、「これまでの人生で熱中した体験、大事にしたい趣味は?」「これだけは譲れない、一生やるだろうなと思うほどのものって何?」といったことを聞きます。趣味の具体例が大事なのではなく、そのエピソードや話している姿を見て、「紛れもなくKEENだな」とか、「この分野に関してはgeekだな」という、突出した何かがある人を見つけ出して、最初にチームに招き入れています。Narumi:なるほど。ちなみに、Kazuhaさんの実体験として、寝食忘れて取り組んだことはありますか?Kazuha:創業からずっと会社のこと中心で人生が回っているのですが、大きな意思決定やハードな時に何度も思い出す情景は、やはり学生時代の生徒会や部活動の記憶です。学園祭で夜遅くまで準備に取りかかり、自分たちが表現したいものを妥協せずに、しかも人の力を借りながらやってきたこと。でも最後は、生徒会長や部長として、自分が代表してチームの思いを伝えなければいけない、みたいな。そんな心地よいプレッシャーは会社に重ねられる部分がある体験だと思っていて。私はずっと、本気で学園祭をするような気持ちで、会社を経営しています。そのお祭りの規模をどんどん大きくしている感覚です。学園祭を運営する人々は、ひとつのチームやコミュニティだと思っていて、一緒に目標を達成したい、その瞬間を一緒に見たいという人たちをチームメンバーとして選び、一緒にムーブメントを作ろうとしてる感じ。ほかには、吹奏楽とかバンドに近いかもしれないですね。この日のステージまでにやり遂げなきゃ、みたいなことが。プレッシャーで辛いけど熱中できる、好き、楽しみ。そのような感覚です。Narumi:Code Republicと東京都アクセラのAPT-Women、 EY・DELLアクセラレーションプログラムに同時期に取り組まれていたときも、まさにそうでしたよね。すごく忙しそうにされていましたが。Kazuha:そうでしたね。3つのアクセラレーションプログラムがありがたいことに同時進行し、それを1人でやっていました。プライベートでは0歳児を育てていたため、正直、毎日今にも倒れそうでした。忙しさというよりも、毎月、子どもの保育園から強いウイルスをもらって、体調を何度も崩しながら、深夜まで働いていました。でも、すごく楽しかった。自分で決めた道ですし、喉から手が出るほどやりたかったことです。その感覚が、いいなと思っています。学園祭やステージに期限があるように、スタートアップ自体も、投資家の皆さまから出資いただいて、最大でも10年ほどでリターンを出すための組織体です。そういう(学園祭と似た)文脈の下で仕事をしているので、自分の中では小学生時代からやっていることがあまり変わらない気がします。時間軸は異なっても、「いつまでに・どんな状態でありたい」といったゴール設定が常にあるなかで挑戦するのが、生きている感じがして大好きです。終わったら燃え尽き、そして次のまたステージがやってくる。そんなプロセスとサイクルが、好きなんだなと思います。Narumi:規模は違いますが、私たちも4月にお祭り(KEEN meetupイベント)をしましたね。社内で企画してお客様を呼んで。規模は小さくても、Kazuhaさんが今お話された(お祭りの)感覚を一緒に味わえて良かったなと思います。みんなで文脈を共有して、インターンの方とも結束する経験はすごく楽しかったし、熱くなりました。Kazuha:ありがとうございます。そしてまさにお客様・コミュニティメンバーの皆さんも同じような経験をしているんですよね。コミュニティメンバーの方が「これからカンファレンスで登壇だ。緊張する!」といった状況に立っているのを見ると、 私たち自身もその状況を作って「お客様はこんなことをやってるんだ、すごいな」と体感する必要があると感じます。お客様を知ると、どんどんリスペクト度合いが増していきます。挑戦を続けるお客様に伴走させていただくために、私たちもチャレンジし続けなければならない。そのチャレンジに共感して応援してくださるお客様と、これからもご一緒させていただきたいなと思っています。Narumi:そうですよね。最中のあのお祭り感があるから、多少の辛いことも我慢できるというか。結局これも楽しいことなんだと知っているから私たちはやるけれど、そのお祭り感を知らない人はびっくりするかもしれないですよね。なんで大変なことを無理にやるの?みたいな。Kazuha:コンフォートゾーンの外に出るのは、誰にとっても苦しいことですよね。ただ会社としては、コンフォートゾーンを手放して、一見無理そうなことをやるのがスタートアップとして取るべき手法だと思っています。大企業の方々は無理なことに挑戦するのではなく、必ず成長することだったり、少しでも上に上がっていくことだったり。失敗しないことの方を(企業文化として)大事にする傾向があります。上場していると、社会の公器としてそのような意思決定をする必要があるからです。一方でスタートアップはまったく行動原理が異なります。大企業と同じ土俵でイノベーションを起こすためには、個人として無理だと思うことも検討する必要があります。それも、チームなら軽々こなせたりするのです。Narumi:KEENの代表として、Kazuhaさんのモチベーションはなんでしょうか。Kazuha:新しい人と仕事ができること、そして仲間がどんどん増えていくことが一番のモチベーションです。新しい挑戦のお題をもらうたびに、応援してくれる人がどんどん新しく増えていって……。桃太郎みたいな感覚でしょうか(笑)。もっといい表現ないかな。RPGみたいな感じ。初期、私ひとりのビジョンしかない状態で、「こういうことやりたい」という話を植田さんにした時に「一緒にやりたいです」と言ってもらって、その後、当時の職場を退職して飛び込んでくれましたよね。オフィスも持っていなかったので、カフェで2人で事業構想を話していました。そこから、Shihoさんと再会し、資料作成やアライアンスを手伝ってもらい始めました。投資家の方々と出会い、その後にはエンジニアのhoriさんと出会いました。エンジェル投資家の方と出会って、お客様もどんどん増えて、共感してくださるお客様が、新たなお客様を呼んでくれて。どんどん応援してくれる人たちが増えてくる。そしてさらに新しい挑戦ができる環境にあること自体が、自分のモチベーションです。一度挑戦すると、「もっと大きい挑戦がしたい」という気持ちになっていきます。そして振り返ると、「こんな人がいたらもっと良いことができた」といった改良点が出てくるので、チームに足りない要素を補ってくれる人を採用するモチベーションにもなります。お客様や株主になってほしい企業さんの理想像も、野心としてずっと抱いています。「売上XXX円(伏せています)で終わりたくない」というゴール設定の背景には、親族がやっていた事業規模よりも大きくてイノベーティブなものをどうにか作りたいという考えが根底にあるのでしょうね。そしてそれらは、テクノロジーやスタートアップというやり方であれば達成できると信じています。もっと社会にインパクトがあることをしたい。それらが、自分のモチベーションになっているのだと思います。Narumi:KazuhaさんがKEENという会社において、これは大事だと思っていることはなんですか?Kazuha:いくつかありますが、まずはgeekな人を採用すること、そしてgeekであり続けてもらうことです。しかし同時に、人への想像も大事にしてほしいですね。個人としてgeekであるから、他の人に対しての配慮やサポート、モチベートすることへの意識を欠いてもいいわけではない。geekであることはひとつの能力として、社会や会社、 コミュニティやお客様、あるいは市場の成長といった、KEENという会社のゴールに対して貢献するものとして活用してほしい。その能力を使う過程で、他社やチームへの配慮(例えば言葉遣いに気を配るなど)をして、相手を不快にさせずにモチベートさせるには、どんなコミュニケーションをすればよいのかを考えてもらいたいです。コミュニティにも同じことが言えると思っています。コミュニティマネージャーの方々も、会社の指揮命令権を超えた関係にあるお客様をモチベートしなければいけないですよね。ビジョンを語って、お客様の得意なことで動かすという難しいことをしています。他者への配慮は当たり前にできてほしい、それが基準になっているかもしれないですね。結構レベルの高いことを日々期待しているのだなと、話していてわかりました。(笑) そして、チームの人たちは、それができるポテンシャルのある人たちだと思っています。全体としては、KEEN Managerというプロダクトやチーム、そしてお客様に対しての愛情を一緒に育んでいけたらいいなと常に思っています。データクレンジング、分析、そしてその中からスター顧客を見つけて育成するというサービスをしていますが、 それは生き物を育てるような感覚に近いですね。未熟な青虫から蛹になって、蝶々になっていく。その育成をするためには、成長を見守る立場にならなければいけないと思っています。分析機能だけであれば、Power BIやTableauを使えば実現できるかもしれないけれど、私たちがしていることはそれだけではないのです。データ分析というのは工数削減のための1つの手段だけれど、それ以上にお客様は、スターを作りたい。自社の中でスター顧客を作りたいし、その過程では、私がコミュニティマネージャーとして抱えていた「長い時間をかけてユーザーを育てなければ」というモヤモヤを同じように抱えているわけです。だからこそ私たちは、お客様に対して愛を持って接していきたいと思っているし、たくさんの愛でお客様をモチベートして導ける、そんなチームを作り続けたいと思っています。Narumi:新しくKEENに今後もいろんな仲間たちが増えていくと思いますが、どんなメンバーと一緒に働きたいですか。Kazuha:大前提として、「人の才能は、今見えているものがすべてではない」と思うことができる人、そして、人や企業の成長可能性を心底信じられる人と一緒に働きたいです。それが、「スターを生み出すぞ!」という、KEENのビジョン・ミッションに近しい感覚だと思うからです。「時間がなくてできない」といった理由は、テクノロジーで解消したいと思っていますし、「怖い、できない、わからない、難しい」などの様々なネガティブな理由がどんなに出てきても、人生は一度きりです。私たちは「チームにしたらできるのではないか」といったお客様や投資家の方々からのご提案や励まし、そしてチームメンバーが居てくれたからこそ、挑戦を続けられています。私たちも会社として、お客様に対してエンパワーメントできる人々でありたいと思っています。またKEENは、社員番号1桁台のメンバーを募集しているスタートアップ。新しいことを生み出すのが当たり前、何もないことが当たり前な環境です。それを面白がって、 「だからこそやりたい」「我こそが!」と思えるような人。ないことが当たり前で、作ることにリソースを割くことができる人。あるいは、今、大企業にいたとしても、学生だとしても、 自分の価値観をスイッチングできるような人。わからないことは当たり前でも、方法や情報は世の中にいくらでも落ちています。私たちだったら、お客様と一緒だったら、このチームだったら何ができるのかということを、問題の大小にかかわらず一生懸命考えられる人と一緒に仕事がしたいです。Narumi:KEENのメンバーになりたいな、なろうかな、KEENが気になるなという方に向けて、KEENという会社の魅力を教えていただけますか?Kazuha:まず、スター顧客を発掘する、コミュニティの中から発掘・育成するということ自体が、 世の中でもまだまだ新しいことだと思っています。とはいえ、シリコンバレーや諸外国では、徐々にスタートアップとしてそのようなサービス・ツールが立ち上がり始めています。そのような状況で、コミュニティデザインやコミュニティプラットフォームを提供されている企業さんと一緒にこの市場を広げられる、挑戦できる、というところがまず第一の魅力です。スタートアップで働く上では、既存のものではなく、何にもないところに挑戦できるところが一番の面白さなので、それ自体が価値になると思います。そして同時に、コミュニティという存在はこれからどんどん必要とされていくものです。必要とされ続けるものに対して、ソリューションを作っていく。チームで作っていくことができること、その領域でチャレンジできることは、チャンスでしかないと思っています。さらに、スタートアップとして成長していく環境という魅力もあります。具体的には、今後もっと売上規模を大きくしていきたいと思っているなかで、 初期の段階を一緒に経験できる。つまり何をするにも、会社として初めてのことが続くので、”生きている感覚”をたくさん味わえます(笑)。スタートアップとは、自己決定でしかないですから。現在のKEENでは、1人でも欠けたらできないもの、生み出されないものしか存在しません。その1つ1つのインパクトの大きさを噛み締めて、日々充実して仕事ができるのではないかなと思っております。Narumi:私もいつも、自分のピースの大きさを実感しながら働いています。自分のいる意味がちゃんとわかる会社ですね。Kazuha:挑戦を辞めようとする理由なんて、どこにでもあります。だけど挑戦し続けられるのは、これまでの、そして新しく出会うメンバーが、初期から今まで、KEENというコミュニティー・チームの欠かせないピースになっていってくれているから。KEENが次のフェーズに成長していくにあたって、それぞれがチームのスターだと思っています。Narumi:最後に、未来のメンバーとなるであろう人に一言メッセージをお願いいたします。Kazuha:入ったら後悔させないくらいの面白いビジネスパーソンライフをお届けできると思いますので、 このお祭りの最中にぜひジョインしてください。我こそは!と思う人はぜひWantedlyからポチっとしてもらえたら嬉しいです。よろしくお願いします。採用情報はこちら