2023年8月6日、「CMC_Meetup Tokyo vol.32」が開催されました。今回のテーマは多種多様なB2C/D2C業界の中でのコミュニティの実践方法。D2C/B2Cそれぞれで考えるコミュニティの必要性、失敗しない方法、顧客理解から顧客創造までのコミュニティの設計方法についてのセッションが開催されました。※画像:CMC_Meetup 大阪vol.6「JTCとDXとコミュニティ」オープニングスライドより引用。※本記事は当日の登壇内容をもとに加筆修正しています。【パネルセッション】D2C/B2Cで考えるコミュニティマーケティング ~顧客と共創までの道のり~はじめに行われたパネルセッションでは、「D2C/B2Cで考えるコミュニティマーケティング、顧客と共創までの道のり」というテーマで、一般社団法人 コミュニティマーケティング推進協会フェローの矢嶋 正明さん、株式会社トライバルメディアハウス クリエイティブディレクターの高橋 遼さんの対談を、株式会社ヤッホーブルーイング よなよなピースラボUnit Director 佐藤 潤さんが聞き手としてファシリテートしました。矢嶋さんは株式会社ビームスにて、マーケティングの責任者を担当したご経験から、高橋さんはSNSの戦略や運用、ファンマーケティングの事業責任者のご経験からお話をされていました。テーマ①:業種業態別のコミュニティの目標矢島さんは、ビームスでのコミュニティの戦略として、ブランド親和度が高く、購入頻度が中程度の人たちをターゲットにしたといいます。コミュニティに誰を招くかということに関してはたいへん悩んで議論したことを語り、最終的には、CRMで金額の高い人から始めるのではなく、スタッフたちに「あなたが自信を持って『私のお客様です』と言える人をまず集めませんか」と呼びかけるところからコミュニティを設定したと説明されました。その背景として、矢嶋自身が店舗の販売員をしていた時に「いらっしゃいませ」と声をかけるお客様ではなく、自然と「こんにちは」と言えるお客様を増やしたい、と考えながら接客していたという経験があり、コミュニティのスタートはそういったエンゲージメントの高いお客さんを集めたとの考えを共有されました。一方で、佐藤さんは、ヤッホーブルーイングでは、ブランドへの関与度が低いお客様に対して、ブランド関与度の高いコミュニティメンバーを通じたコミュニティマーケティングをおこなうことによってブランド関与度と購入頻度を高めようとしている考えを説明されました。これらの考え方に対して、高橋さんは「業界によるコミュニティの目的と実践方法には違いがある」と見解を説明。自社による20業界・200ブランドを対象とした調査に基づいて、ファッションやクラフトビールは、ブランド関与度が相対的に高いことを指摘し、(比較的ブランド関与度の低い)保険商品や洗剤等や日用品はワクワクしながら購入している消費者が少ないのではないかという見解を伝えました。そのような場合には、お客様をただ集めてコミュニティを開始しても、発話が発生せず、メンバーを区切る、期間を区切るなどの工夫をする必要を指摘しました。ただし、「ファンがいないブランドは基本的にはない」と言い、ロイヤリティの高い顧客が少ないとしても、彼らからのインサイトを元とした広告などの他のマーケティング施策への活用の可能性についても補足をしました。テーマ②:失敗しない立ち上げ方次のテーマでは、コミュニティにおける5つの失敗要因が提示され、それらについて議論がされました。「より多く買ってくれている人」 をファンと混同してしまうメンバー全員が常に参加する前提でコミュニティを設計してしまう画一的なコンテンツでコミュニティを運営してしまうコミュニティ内のLTVを高めることのみを目的に置いてしまうコミュニティの成果をコミュニティ内に留めてしまう高橋さんは、これまでの調査に基づいて、「多く買ってくれている人が必ずしもファンではない」とし、継続的に買ってくれている方の7割程が「ファンだから」という理由で購入しているのではなく、「店が近くにあったから」「値引きしていたから」という理由から購入している実情を指摘しました。また、コミュニティにおいては、「1:9:90の法則」つまり「発信をする人1に対して、反応をする人が9であり、残りの90はオーディエンスとして受け止めるのみとなる」ということを説明し、コミュニティのメンバーが全員積極的に参加をする前提に基づいたコミュニティ設計にはリスクがあると伝えました。画一的なコンテンツのみによるコミュニティ運営が失敗要因になる背景としては、矢嶋さんは「自分にしかない思い出がコミュニティ参加の拠り所になる。オンラインコミュニティで一方的な発信はロイヤリティ向上に寄与しない」という考えを共有しました。ビームスのコミュニティでは、画一的なコンテンツを回避するために、毎月お題を決めてハッシュタグを作り、発信を求める施策をしているといいます。例えば、「はじめてのBEAMS体験」というお題で発信を求めることで、熱量の高いファンが10年以上前のエピソードについて語ってくれた、というエピソードを紹介してくれました。テーマ③:そもそもファンを生み出すためには何から始める?計画的にファンを生み出すことが難しいということを確認した上で、高橋さんはスナックミーので実践された実例も交えながら、お客様がどのような体験を通じて企業のメッセージに共感する形で反応をしているかを観察し、法則性を見つけてそれを再現するマーケティング施策を実施することがファンを生み出すことにつながるという見解を述べました。 まとめひとくちで「ファン」といってもそこにはグラデーションがあり、誰をコミュニティメンバーになってもらうか、からコミュニティはスタートします。ブランドへの愛着度の高い顧客の熱量をいかに保ち、伝搬させていくか、その方法にどう再現性を持たせるか、がコミュニティ成功の肝になると納得させられたセッションでした。【事例セッション】改めて立ち上げた or 新たに立ち上げたコミュニティでのゴール設計とファーストピンの見つけ方Mizkan Holdings の事例紹介 本セッションでは、Mizkan Holdings 執行役員 日本+アジア事業 CRM本部長 林太郎さんがご登壇され、具体的なコミュニティの立ち上げが紹介されました。Mizkanが健康を実現してほしいという思想に基づいて様々な商品を展開していつが、その一方で、マーケットシェアを取っているもののブランドに結び付いて認知されておらず、LTVの向上に向けた課題となっている背景を共有されました。この課題解消のために、UGCを活用する方針のもとで、コミュニティを立ち上げられたそうです。コミュニティの立ち上げに向けて、ファーストピン(コミュニティの立ち上げの際に重要となる熱量の高い中心人物)を見つける工夫をされていることを説明され、もともとあった別のユーザー交流の場から熱量の高いメンバーを探している取り組みを紹介されました。現時点のコミュニティの運営では、運営から毎日投稿をしているそうですが、この際の工夫として、レシピの紹介や調味料の紹介に対して、あえて運営からその価値を伝えずに、ユーザー同士によるクチコミの信頼性の向上を図っていることを説明されました。今後も工夫を重ねながら、コミュニティの訪問者やユーザーのデータ分析も実施し、コミュニティのアクティブ率等のKPIの向上を図っていく展望が語られました。再春館製薬所の事例紹介 本セッションでは、株式会社再春館製薬所 ドモホルンリンクル事業部 FM(ファンマーケティング)マネージャー 田中真希さんがご登壇され、具体的なコミュニティの立ち上げが紹介されました。再春館製薬所では今年誕生から50周年を迎えるドモホルンリンクルブランドが会員様のリピート率94パーセントに支えられており、そのリピート率はリニューアルを重ねた商品力であることを紹介されました。そのうえで、「なぜコミュニティを今更やるのか」という背景として、販売チャネル構成が電話からインターネットに軸足が移る中で、お客様との双方向接点が減少している課題感があったといいます。お客様からのユーザーの声やUGCを参考にする接点を改めて持つためにコミュニティを実践することを決められたそうです。その際、ファーストピンの発見のために、お客様交流会等でお会いした熱量の高いファンの方々に対して、全国に飛び1on1を実施し、10名のコミュニティ参加者を決定した取り組みを紹介しました。コミュニティの心理的安全性を大事にすること、お客様同士のコミュニケーションを促すことを心掛けていることで、順調にコミュニティ参加者が増えていらっしゃるそうです。今後は、社員が介在しなくても、お客様同士が会話して熱量が上がっていくコミュニティを目指しているそうです。さらに、コミュニティを起点として、紹介による購入やUGCの増加を目指し、そのための設計を重要視していると話されました。Q&A セッション「これまでに実施したコミュニティ施策の失敗」についての質問に対しては、林さんは目的が曖昧なままに実施したことで、時間が経ちさまざまな状況が変わった際に、施策の意義が不明瞭になった状況を説明し、この度のコミュニティ施策の背景にもなったということを紹介しました。同様に田中さんも、コミュニティ実践の目的が明確に設定されておらず、コミュニティを実践すること自体が目的となってしまっていた背景を共有されました。「コミュニティ施策の社内説明のために活用する数値」についての質問に対しては、林さんは、初日から密にコミュニケーションを実施した取り組み方を紹介されました。UGCの増加と、間接的に向上するLTV、の二つを目標数値として、その考え方や計算ロジックを経営陣に説明し、納得いただいたそうです。このような説明と納得の獲得はコミュニティ推進の担当者にとっては重要なスキルとなることも強調されました。田中さんは、データに基づいて、お客様交流会に参加された方がLTVが上がるという実績を紹介し、継続的に社内とコミュニケーションを取ることで納得を得たことを紹介されました。QAも含めて具体的な取り組みの紹介により、B2Cコミュニティにおける立ち上げ方・実践方法についての示唆に富むセッションとなりました。本イベントは、B2C/D2Cビジネスにおけるコミュニティを通じた顧客とのエンゲージメント強化やビジネスの成長を促進するための多くのヒントが得られる有意義なイベントでした。これからコミュニティを立ち上げようとしている方や、すでに運営しているが課題を抱えている方、事業ステージの変わり目で見直しを検討している方にとって、貴重な学びと気づきが得られたのではないでしょうか。【無償トライアル実施中】コミュニティのデータ活用・分析にKEEN Manager をKEEN Managerは、スター顧客を育成し、スター顧客を起点にバイラルな新規ユーザー獲得と他の既存ユーザーの成功の支援を実現するマーケティングツールです。導入企業は、KEEN Managerを活用することで社内の複数のツールやSNSなどのインターネット上に散在するエンドユーザーの行動および発信データを統合し、熱量の高いユーザーを発見することができます。%3Cscript%20charset%3D%22utf-8%22%20type%3D%22text%2Fjavascript%22%20src%3D%22%2F%2Fjs.hsforms.net%2Fforms%2Fembed%2Fv2.js%22%3E%3C%2Fscript%3E%0A%3Cscript%3E%0A%20%20hbspt.forms.create(%7B%0A%20%20%20%20region%3A%20%22na1%22%2C%0A%20%20%20%20portalId%3A%20%2223387243%22%2C%0A%20%20%20%20formId%3A%20%22bfb39371-cd7c-470a-8d97-d0ab0e7c31ab%22%0A%20%20%7D)%3B%0A%3C%2Fscript%3E