
スター顧客はどう生まれる?Google Cloudコミュニティ「Jagu'e'r」に聞く、“カルチャーアド”としてのエバンジェリストの在り方
「コミュニティ運営に興味があるけど、どうやって行っているんだろう?」「すでにはじめているもの、他のコミュニティの上手な活用例が知りたい」
そんな人が集まり、楽しみながらコミュニティについての知見を深める、「KEEN meetup#2 冬のコミュニティ祭り」が2023年11月29日(水)に行われました。
今回登壇したのは、日本初のGoogle Cloud公式ユーザー会「Jagu'e'r(ジャガー)」の発起人兼オーナーである黒須 義一さんと、 Jagu'e'r アンバサダーの酒井 真弓さん、そしてJagu'e'r エバンジェリストの村田 靖拓さん。
こちらの3人が熱く語った、コミュニティを活性化させるための「エバンジェリスト」の在り方とは…?
【登壇者】
黒須 義一さん
株式会社G-gen上級執行役員CRO /「 Jagu'e'r」発起人 / Olive Goat合同会社代表。日本初となるGoogleCloudの公式エンタープライズユーザー会「Jagu'e'r」を設立し、同ユーザー会の発起人兼オーナーを務める。
酒井 真弓さん
ノンフィクションライター/「Jagu'e'r」アンバサダー。企業のDX化を中心に取材・執筆を行うノンフィクションライターの傍ら、「Jagu'e'r」の運営、イベント企画、司会もこなすパラレルキャリアの持ち主。
村田 靖拓さん
フューチャーアーキテクト株式会社 フューチャーバリューグループ アーキテクト / 「Jagu'e'r」エバンジェリスト。「Jagu'e'r」エバンジェリストを務めながら、ITコンサルタントとして、GoogleCloudを用いて顧客の新しいサービス構築などに携わる。
※以下、敬称略
日本初のGoogle Cloud公式ユーザー会「Jagu'e'r 」とは?
まず、 Jagu'e'r の発起人兼オーナーを務める黒須さんに、 Jagu'e'r の概要や、主なコミュニティ活動の内容について語っていただきました。
黒須:
「Jagu'e'r」は、日本初のGoogle Cloud公式ユーザー会になります。
Jagu'e'r の名前の由来は、当時のGoogle Cloud Japan内で、公募をして、複数の候補の中から「Jagu'e'r (ジャガー)」となりました。
「エンタープライズ(Enterprise)」にフォーカスしたいという想いから、頭文字の「e」に「’」を加えて、「エンタープライズに、いい(e)音(’)を奏でる」というニュアンスを含めています。
黒須:
Jagu'e'r の特徴は、数あるベンダーコミュニティのなかでも、ユーザー企業さまだけでなく、パートナー企業さまも参加できることです。属性の垣根なく、「みんなでGoogleCloudを盛り上げていきたい!新しいITリーダーに光をあてたい!」という強い気持ちで立ち上げました。
ゆえに、村田さんのようなエバンジェリストが生まれ、よい空気感を生み出しています。
2023年で立ち上げから3年ほどが経ちますが、現在はユーザー企業さまとパートナー企業さまが半分ずつの割合で合計856社、3280名が在籍しており、どんどん規模を拡大しています。

さまざまな盛り上がりを見せる Jagu'e'r の分科会
黒須:
Jagu'e'r でのアクティビティは、主に3つあります。1つめは、年2回行われる Jagu'e'r 全体総会 「Jagu'e'r Park」。セッションやパネルディスカッション、フリートークのパネルディスカッション、Jagu'e'rAwardのバトルLTなど、毎年さまざまなコンテンツが目白押しのイベントです。
2つめは、26個の分科会活動。北海道や九州などの地域系や、企業組織論系、コミュニティ系など、さまざまな業界や技術領域に分かれた、会社でいう支部のようなものが存在しており、活動しています。
そして3つめは、Slackチャンネルを使った交流で、日々有益な情報交換や活発な議論が行われています。
特に分科会は、毎月10回以上のミートアップを行っているほど活発的に活動していますね。なかでも最近盛り上がっているのが小売業界の分科会。
面白かったミートアップだと、ピザ焼き色判定にAI導入で話題のオーケー様が、なんとデモンストレーションを実施しながらLTしてくれました。数名の社員で企画検討し採用に至ったピザの焼き色判定を行うAI構築。ピザの焼き色判定AIにて焼き終えたピザをWEBカメラで映し、ちゃんと焼けているのかをAIで判定可能とする仕組みを実装されています。
また、CCoE※2の分科会では、 Jagu'e'r アンバサダーの酒井さんと私で共著を出版するなどの動きも生まれました。さらに、初心者の方がスムーズにオンボーディングしていただくための「Jagu'e'rはじめてラウンジ」もございます。
はじめてラウンジも、運営側の人間ではなく、 Jagu'e'r のコミュニティメンバーが発案したもの。主に長期会員の方がホストとなって初心者の方への説明会や交流会を行っています。
※2 「クラウド戦略を遂行するために必要な人材や知見、リソースなどを集約した全社横断型」という特徴を持つ、企業内のクラウド活用推進組織のこと
「Jagu'e'r」のスター顧客はどう生まれたのか?
そんな Jagu'e'r のエバンジェリスト制度は約1年前に発足。現在活躍中のエバンジェリストたちは、 Jagu'e'r のなかで、さまざまな分科会の立ち上げや、大勢の人を巻き込んで活動をしている選ばれし5名です。
ここからは、黒須さんのほかに、アンバサダーの酒井さんやエバンジェリストの村田さんも交えながら、パネルディスカッション形式で、エバンジェリストについてさまざまな角度から深掘りしていきます。
Q1: Jagu'e'r のスター顧客制度「エバンジェリスト」とは?
黒須:
改めて村田さんより、 Jagu'e'r のエバンジェリストについて教えてください。
村田:本当に、さまざまなバックグラウンドの方が集まっていますが、やっぱり熱量の高い人が多いですね。
まず、私は Jagu'e'r 全体総会である 「Jagu'e'r Park」の総合プロデューサーや、分科会の運営などを行っています。
続いて、パートナー企業の秋元さんは、すごく精力的にコミュニティ活動を楽しまれている方。とにかく楽しい気持ちを、より多くのメンバーに還元したい気持ちが強くて、イベントの企画も率先してどんどん行ってくれます。
ユーザー企業の増森さんは、勤務先でGoogleワークスペースの管理者をされていて、業務で得た知見や経験を、惜しみなくコミュニティ運営に活かしてくださっていますね。そしてまた、 Jagu'e'r をご自身のスキルアップに繋げる場として活用されているイメージです。
黒須:
秋元さんも増森さんも、20代後半という若さでコミュニティを牽引してくださっていて、とても頼もしいんですよ。
村田:
それから、人材育成分科会をリードしている又吉さん。イベント企画力も高く、何よりGoogeクラウドの知見が深いんです。Googleクラウドに関するブログも執筆されており、私も使用法に困ったときは参考にさせていただきました。
黒須:
コミュニティの基盤である、Googleクラウドへの愛を体現されている方ですよね。
村田:
そして、銀行で役職についている家壽田さん。「モバイル / スマホアプリ分科会」や「九州分科会」を立ち上げられました。
ご自身の業務経験と、Jagu'e'r で得たGoogleクラウドの知見を相乗効果で活かし合い、ギブアンドテイクのサイクルを回してくださっています。エバンジェリストのなかでも、調整役やご意見番を担っていただいております。

黒須:
5名とも個性豊かで、それぞれの持ち味を活かしてコミュニティを彩ってくれております。
2023年12月には新たなメンバーが4人加わり、総勢9名になる予定です。コミュニティ内の新陳代謝をどんどん活性化させていきたいですね。
Q2:エバンジェリストのモチベーションとは?
黒須:ここで、エバンジェリスト、いわゆるスター顧客としてのモチベーションを伺いたいです。本業も忙しいと思うのですが、何に魅力を感じて精力的に活動してくださっているのか、教えてください。
村田:端的に言うと、「自分がもっとコミュニティを楽しみたい」「享受するだけでなく還元したい」というのがモチベーションですね。
もともと、コミュニティに参加したきっかけは、本業でCCoEをリードしていく立場でありながら難しさを感じていたためでした。すでに成功者がいるであろう「CCoE研究分科会」に所属して、情報交換を行いたかったんです。
黒須:
最初はコンテンツの内容に魅力を感じたのがきっかけだったのですね。
村田:そうなんです。でも、実際に活動に参加していくうちに「会社以外にも面白い人たちがたくさんいる」「自分の新しい居場所になっている」と認知するようになり、「貢献したい」という気持ちが生まれてきたんです。
黒須:
魅力的なコンテンツをきっかけに、 Jagu'e'r での活動を愛してくれるようになった人のなかから、村田さんのようなスター顧客が生まれるのでしょうね。
Q3:どのようにエバンジェリストを見つけるのか?
酒井:
ちなみに、 Jagu'e'r のエバンジェリストの選定基準は何だったのですか?
黒須:
最初の5名は運営側が指名したのですが、Google 社内でもよく言われている「カルチャーフィット」ではなく、「カルチャーアド」の概念に基づいて多様性を重視しました。
カルチャーフィットとは、もともと文化に対しての適応性があること。一方で、カルチャーアドは、コミュニティに新しい視点をもたらしてくれることです。
Jagu'e'r では、多種多様な人が新しい風をどんどん吹き込んでくれることを期待して、個性豊かな人たちを選ばせていただきました。
酒井:
運営サイドとしても、膨大な企画量を提案してくれるエバンジェリストの方には、起爆剤のような存在として期待しております。運営であろうとエバンジェリストであろうと、垣根はないという認識です。
ちなみに、次期のエバンジェリストは、現エバンジェリストである村田さんたちに選んでいただきましたが、どのように人選を行いましたか?
村田:
現在のエバンジェリスト1人につき1名ずつを推薦して、全員で話し合いました。私自身が重きを置いていたのは、「 Jagu'e'r を楽しみたい!」という気持ちが強いことでしたね。

Q4:スター顧客発掘のために「KEEN Manager」をどう活用する?
黒須:
ちなみに、コミュニティに対する熱量は、 KEEN Manager を使って活動量を定量化することでも見えてきますよね。
村田:
そうですね。例えば、いろんな分科会のミートアップに参加していたり、SlackやXで積極的に発言していたりすることも、 KEEN Manager では数値化することができるので、選定するときの参考にしていました。
黒須:
ほかにも、 KEEN Manager にはいろんな可能性があると思っています。例えば、年1回行われる「Jagu’e’r Award」のなかで、数値化した指標をもとに表彰をするなど、メンバーのモチベーションを上げて、よりコミュニティを活性化していきたいですね。
そんな Jagu'e'r ではただいま新規加入も受付中です。Google Workspaceなど、少しでもGoogleのサービスを使っている方も含め、お気軽に加入していただけると嬉しいです!
〈執筆=綾ひさよ(@ayahisayo_write)/編集=いしかわゆき(@milkprincess17)〉
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