「界隈」とは、おもにSNSで展開される共通の関心や価値観を持つ人々の集まりのことです。特にZ世代を中心に、「仲間」「近しい存在」「同じような興味や行動パターンを持つ人々」という意味合いで広く使用されるようになっています。最近、特にSNSを中心に「○○界隈」という言葉をよく目にするようになりました。「界隈」は昨年末に発表された「2024年新語・流行語大賞」のトップテンにノミネートされました。本記事では、現代における「界隈」の意味から、その使われ方、そしてビジネスでの活用まで、幅広く解説していきます。界隈とは?意味とSNSでの使われ方「界隈」とは、おもにSNSで展開される共通の関心や価値観を持つ人々の集まり。この使い方は、単なるカテゴリー分けを超えて、そのコミュニティに属する人々の帰属意識や連帯感を表現する手段としても機能しています。「界隈」が流行語になった背景には、SNSを通じて趣味や価値観で繋がる人々が手軽にコミュニティを形成し、強い共感や連帯感を生み出すようになったことがあります。特にZ世代を中心に盛り上がった界隈は、他世代にも波及し、企業にとっても新たな消費を促す「界隈マーケティング」として注目されています。SNS上に存在する様々な界隈のイメージ界隈の種類と具体的な事例の紹介界隈は緩やかなつながりで形成されることもあり、SNS上の界隈は広範に数多く存在します。特徴的な界隈を中心に、具体的な「界隈」の事例をいくつか紹介します。 風呂キャンセル界隈何らかの理由で入浴自体をキャンセルしたり、入る時間を先延ばしにする経験を共有する人々を指します。志向やメンタル不調など理由は千差万別ですが、「お風呂に入るのが面倒だな・・・」という共感をもとにSNSを中心につながりが形成されています。また、「〇〇キャンセル界隈」という表現で入浴だけではなく面倒だと感じる日々の行動をやめる、そのことを明言してSNS等で発信する行動も見られるようになりました。(例:家事、ドライヤー)ぷくぷく/ぽこぽこ界隈ぷくぷく界隈・ぽこぽこ界隈とは、主にTikTokやYouTube、Instagramなどのショート動画プラットフォームで活躍するクリエイターのジャンルです。「新社会人の日常」や「都内OLの美容day」といったテーマで日常Vlogを投稿し、可愛らしい「ぷくぷく」「ぽこぽこ」といった効果音やBGMを取り入れている点が大きな特徴です。こちらの記事でも詳しく紹介しています。ぷくぷく界隈/ぽこぽこ界隈とは?話題のショート動画トレンドを徹底解説 伊能忠敬界隈日本中を歩いて測量した伊能忠敬にちなみ、長距離を歩くことを好む人々や、仕事や趣味で長時間歩く人々を指します。ダイエットやウォーキング自体を目的にしているケースもあれば、おしゃれ場お店やカフェを訪れる「映える」街歩きの様子を発信している投稿が見られます。その他の界隈の例上記の特に特徴的な界隈以外にも、それぞれのタイプ別には、下記のような界隈が挙げられます。概要例趣味・関心軸界隈趣味やファッションにまつわる情報交換や交流を目的に形成される界隈美容系界隈 / 日本酒界隈 / キャンプ界隈ミーム系界隈SNS上での「バズ」をきっかけにミーム*を中心として発生する界隈伊能忠敬界隈 / 風呂キャンセル界隈 / 回転界隈連帯系界隈同じ業種・業界の職業や、活動を実施する中での情報交換や連帯を目的に形成される界隈スタートアップ界隈 / エンジニア界隈 / 就活界隈 / 婚活界隈互助系界隈同様の境遇の人達との共感や互助を目的に形成される界隈ママ垢界隈 / 闘病界隈*ミーム:話題となった文章や画像・動画などのコンテンツそのものや、そのコンテンツが拡散・改変される現象その他多様な界隈をこちらの記事でも紹介しています。SNSで広がる「界隈」の種類とは? 4つの分類別に代表的コミュニティ事例を徹底紹介KEENでは、ブランドが見るべき界隈の発掘と、界隈にアプローチするマーケティングサービス「KEEN界隈DB」を提供しています。「KEEN界隈DB」は上記の界隈を含めて、150を超える界隈をデータベース化しています。自社商材と相性の良い界隈について知りたい方はこちらをご覧ください。界隈が注目される理由とビジネス活用の可能性SNSを起点とする盛り上がりSNSを中心に、趣味や関心を共有する人々が手軽に結びつけるようになったことで、「界隈」はこれまで以上に活発化しています。特に柔軟で流動的なコミュニティを好むZ世代の間で注目を集めがちですが、こうした盛り上がりは若年層に限らず、異なる世代や多様な分野にまで拡大していく可能性を秘めています。この背景には、界隈を中心とした情報共有や共感が高い熱量を生み出す特徴があります。SNS上での投稿やコメントの積み重ねがコミュニティ内の結束力を強め、外部から見ると「この界隈には面白そうな人やコンテンツが集まっている」という魅力的なイメージを形成します。その結果、新規参入者が増え、さらに界隈が盛り上がるという好循環が生まれています。▽あわせて読みたい界隈マーケティングの始め方:KEEN界隈DBを活用した実践ステップビジネス活用と世代を超える可能性このように界隈が盛り上がることで、市場形成にも大きな影響が及び始めています。Z世代を象徴的な顧客層として取り込むだけでなく、より幅広い世代やジャンルにアプローチできる手法として「界隈マーケティング」が注目されるようになりました。特定のコミュニティが商品やサービスを推奨し合うことで、界隈全体に消費が伝播し、それが他の界隈へと波及するケースも増えています。さらに、従来のデモグラフィック分析では捉えきれなかったニッチなニーズや価値観が、界隈を通じて顕在化し、企業側にとって新たな市場を創出する機会にもなっています。界隈同士がつながることで、想定外のコラボレーションが起きたり、企業とコミュニティが共創を通して新しい商品アイデアを生み出すなど、従来のマーケティング手法では考えられなかった可能性が広がっているのです。続いて、こうした界隈がどのように輪郭を帯び、魅力的なコミュニティへと成長していくのか、そのメカニズムをより詳しく探っていきます。界隈が生まれる仕組み|自称型と他称型界隈という概念が輪郭を帯びるメカニズムについて、KEENが提供する「KEEN界隈DB」でデータ分析を進めていくと、大きく分けて「自称する界隈」と「外から示される界隈」の二つがありました。この二つの視点が互いに補完し合うことで、界隈がその特徴や空気感を強調し、時には拡大していくのです。自称する界隈「私たち〇〇界隈だから」といった具合に、自分たちでその名称を掲げるケースでは、そこにしばしば軽い自虐や揶揄のニュアンスが混じることがあります。たとえば、インターネット上で「〇〇界隈」と自らを名乗る人々の投稿には、ユーモアや皮肉が含まれていることが多いです。それは、同じ興味関心を持つ仲間同士の暗黙の了解であり、親近感を深めるスパイスのような役割を果たしているのです。この「自称」の感覚には、「私たちはこういう集まりだよね」と自らを定義し、仲間内での一体感を高める意図が見られます。ただし、そこに完全なポジティブさだけがあるわけではありません。「こんな界隈を名乗っちゃう私たち、ちょっと変だよね?」という軽妙な照れや、微妙にネガティブなニュアンスが滲んでいる場合も少なくありません。この感覚が、界隈のユニークさや親しみやすさを際立たせる要因になっていると考えられます。外から示される界隈一方、「外から示される界隈」とは、そのコミュニティやグループが他者によって名付けられ、ラベリングされる形です。この場合、界隈の定義は当事者たちの意識に基づくものではなく、外部からの評価や観察によって作られます。そのため、当事者たちにとっては意外性や違和感を伴うこともありますが、これがかえって界隈を面白いものとして認識させるきっかけにもなるのです。興味深いのは、この「外からの示され方」がしばしばネガティブな文脈と結びつきやすい点です。たとえば、炎上や誤解、議論の的となることで界隈が注目を浴び、特定のイメージやステレオタイプが形成されます。このような場合、その界隈はある種の「物語」を背負い、さらに輪郭をはっきりとさせていきます。ネガティブ文脈との相性の良さ界隈という言葉や概念が、ネガティブな文脈と親和性が高い理由はここにあります。自虐的なニュアンスや外部からのラベリングは、単なるコミュニティ以上の「物語性」を界隈に付与します。これが、界隈というものがただの「集団」ではなく、特定のキャラクターを持つ存在として認識される理由だといえます。そして、この物語性は界隈をさらに多くの人々にとって「面白いもの」として認識させ、話題にする対象へと変えます。その結果、界隈が輪郭を帯び、社会的な広がりを持つようになるのです。「界隈消費」とは?マーケティング活用事例と効果界隈消費とは「界隈消費*」とは、界隈消費とは、特定の界隈(集団・コミュニティ)に関連する消費行動を指しています。特定の興味関心をもつ人々が集まり、共感や好きな世界観、カルチャーを共有することにより生まれる購買行動を指します。界隈の中での話題化をきっかけに、界隈の中での推奨の発生や、消費行動自体が界隈との連帯感を高めるシグナルとなることなどを通じて、界隈に所属している個人の消費行動を加速させることで界隈消費は発生します。さらに、界隈を超えて消費行動が伝搬していくこともあり、これは界隈伝搬消費* と呼ばれます。これは、特定の界隈で話題化した商品が、界隈による評判形成によって信頼性を獲得し、他界隈で同様のニーズを持つ人が消費に至るという点から発生します。この界隈伝搬消費のカギになるのは、複数の界隈に所属しており、各界隈の情報を界隈を超えて流通させる個人です。*界隈消費、界隈伝播消費:博報堂 『Future Evangelist Report』 Vol.3の中で提唱された界隈を起点とした消費動向界隈消費の発生メカニズムのイメージこの「界隈消費」については、博報堂とSHIBUYA109 lab.による共同調査によるレポートに詳しく説明がありますので、そちらもご覧ください。参考:博報堂 『Future Evangelist Report』 Vol.3(2024.11.15)「界隈消費 ー生活者発のコミュニティ起点で起きる、未来の消費とは?ー」 共著:SHIBUYA109 lab.マーケティングにおける界隈の価値現代のマーケティングにおいて、従来のデモグラフィック分析だけでなく、趣味や価値観に基づくコミュニティ分析が重要性を増しています。「界隈」と「界隈消費」の理解は、より効果的なターゲティングと商品開発につながります。界隈マーケティングの登場このような「界隈」への注目の高まりを背景に「界隈マーケティング」という手法が生まれてきています。例えば「界隈ジャンプ」と呼ばれるある界隈で認知や支持を得たブランドが、関連しそうな隣接界隈だけでなく、一見無関係にも思われる別の界隈でも広がる現象が存在します。このジャンプを意図的に起こし、ブランドはより広範囲の消費者にリーチし、ブランドロイヤリティを高めながら市場を拡大することは、現在、重要なマーケティングアジェンダになっています。界隈ジャンプについて詳しくはこちら:「界隈ジャンプ」でブランドの認知拡大を加速する:KEEN界隈DBの活用戦略また、企業が商品を提供し、それを受け取ったインフルエンサーや一般ユーザーが自発的に口コミを発信するマーケティング手法である「ギフティング」においても界隈の理解は非常に重要なポイントになります。自社商品と相性の良い界隈を見極め、その界隈で影響力を持つユーザーに商品を使用してもらうことで、自然な形でフォロワーの興味を引くことが重要なアクションになってきています。ギフティングについて詳しくはこちら:ギフティングは選び方が9割|SNSを活用した界隈へのアプローチの秘訣企業における活用の可能性企業が界隈の特性を理解し、適切に活用することで、様々なビジネス機会を創出することができます。アプローチできていなかった新しい市場を開拓する可能性の拡大界隈特有の文化や価値観を深く理解することで、従来は見過ごされていたニーズを発見し、新たな市場を創造することが可能となります。既存の製品やサービスに対して、界隈ならではの新しい利用シーンの創出界隈特有の行動パターンや価値観に着目することで、製品やサービスの新しい価値を見出し、用途を拡大することができます。界隈との継続的な関係構築を通じて、ブランドの社会的価値の向上界隈の発展に真摯に貢献する姿勢を示すことで、企業としての信頼性と影響力を高めることができます。界隈にアプローチすることで、ファンを育成し、また、ファンが界隈での話題化のきっかけになることが期待できます。これらの取り組みは、短期的な成果だけでなく、中長期的な市場拡大につながる可能性を秘めています。界隈との深い信頼関係を構築することで、持続的な成長の基盤を確立することができるのです。界隈マーケティングのイメージ界隈マーケティングのカギを握るのは、界隈に強い影響力を持つ中心人物=KOL (Key Opinion Leader)です。いかにして、KOLからの発話を獲得するかが、界隈マーケティングの重要なポイントになります。詳しくはこちらの記事にて解説:界隈のKOL(Key Opinion Leader)とは?これからのインフルエンサーマーケティングのキーワードKEENでは、ブランドが見るべき界隈の発掘と、界隈へのアプローチを支援する業界初の界隈マーケティングサービス「KEEN界隈DB」を提供しています。自社商材と相性の良い界隈を発掘し、 熱量ある発信を最大化するマーケティングサービス「KEEN界隈DB」についてはこちらからよくある質問(FAQ)Q1:「界隈」とは簡単に言うと何ですか?「界隈」とは、主にSNS上で共通の趣味や価値観を共有する人々が集まって形成される、緩やかなコミュニティのことを指します。Q2:なぜ今「界隈」が流行しているのですか?SNSの普及により、自分と趣味や価値観が近い人々と気軽につながり、共感を得やすくなったためです。特にZ世代を中心に広がり、他世代にも波及しています。Q3:界隈マーケティングとはどういう意味ですか?界隈マーケティングとは、特定の趣味や関心ごとで結ばれたコミュニティ(界隈)をターゲットに、商品やサービスを自然な形で訴求するマーケティング手法です。Q4:「界隈消費」とは何ですか?「界隈消費」とは、ある界隈内で話題になった商品やサービスが、共感や口コミを通じてコミュニティ内で消費を加速させることを指します。Q5:企業はなぜ「界隈」に注目すべきですか?界隈に注目することで、企業は従来の市場分析では捉えられなかったニッチな顧客層や新たなニーズを発見できるためです。界隈への理解は、効率的な商品開発やマーケティング戦略の立案につながります。Q6:界隈をビジネスに活用する方法は?自社の商品・サービスと相性の良い界隈を特定し、その界隈内で影響力を持つ人物(界隈のKOL)や共感を生むコンテンツを活用することで、自然な形でブランド認知や商品訴求を促進できます。これから様々なビジネスシーンにおいて「界隈」の理解と適切なかかわり方を模索することは、重要な課題になるでしょう。KEENでは、ブランドが見るべき界隈の発掘と界隈へのアプローチに特化した業界初の界隈マーケティングサービス「KEEN界隈DB」を提供しています。自社商材と相性の良い界隈を発掘し、 熱量ある発信を最大化するマーケティングサービス「KEEN界隈DB」についてはこちらから▽あわせて読みたい界隈マーケティングの始め方:KEEN界隈DBを活用した実践ステップ%3Cscript%20charset%3D%22utf-8%22%20type%3D%22text%2Fjavascript%22%20src%3D%22%2F%2Fjs.hsforms.net%2Fforms%2Fembed%2Fv2.js%22%3E%3C%2Fscript%3E%0A%3Cscript%3E%0A%20%20hbspt.forms.create(%7B%0A%20%20%20%20portalId%3A%20%2223387243%22%2C%0A%20%20%20%20formId%3A%20%22f709cb53-5faf-4c4e-93fb-a7fc55682d5a%22%0A%20%20%7D)%3B%0A%3C%2Fscript%3E