2024年4月末に開催された米国最大規模のコミュニティカンファレンス「CMX Summit 2024」。今回、現地参加したスタートアップ経営者による報告会を開催しました。報告会当日は、次のような内容のコンテンツが展開され、多くの国内のコミュニティ実践者やコミュニティマネージャーの方にご参加いただきました。【当日のアジェンダ】本記事では、当日のイベントの様子を要約して記事化しております。スピーカーコミューン株式会社 共同創業者 / 取締役CPO橋本 翔太 氏ストックホルム経済大学留学を経て、東京大学経済学部卒業後、Google Japanに入社。プロダクトマーケティング業務に従事した後、Google米国本社に転籍し、広告製品の新規顧客プロダクトマーケティングをリード。退職後帰国し、Dayone株式会社(現コミューン株式会社)を共同創業し、取締役CPOに就任。KEEN株式会社 COO羽田トーマス洸太東京大学工学部を卒業後、東京大学大学院工学系研究科にて修士号を取得。コンサルティングファームのPwCコンサルティング合同会社 Strategy&にて製造業界やIT業界を中心に、多岐にわたるクライアントにコンサルティングサービスを提供。2023年10月にKEEN株式会社に入社。モデレーターKEEN株式会社 代表取締役 Founder & CEO小倉 一葉2012年 マイクロソフトに新卒入社。同社では、クラウド(Microsoft Azure)パートナー企業担当のプリセールスSE・BizDevとしてアライアンス業務を担当し、ユーザー会・コミュニティの企画運営に従事。2019年にKEEN株式会社(前社名・プリズムテック)を創業。スター顧客を発掘・育成するデータ分析サービス「KEEN Manager」を開発・提供中。以下、敬称略CMX Summit 2024カンファレンス概要小倉:まずは、実際に現地でCMX Summit 2024はどのような場だったのか教えてください。羽田:幅広い年齢層と各分野のプロフェッショナルが集まる印象的なカンファレンスでした。特に若い世代の参加者の中には、20代前半ですでに数万人規模のコミュニティを運営している人もいましたね。CMX Summitでは、そのようなプロフェッショナルの方々が登壇されていました。コミュニティに関するワークショップやセミナーも多々実施されていました。内容は玉石混交で、非常に興味深い内容のものもあれば、「聞いたことあるな」と少し物足りなさを感じるものもありましたね。橋本:CMX Summitは、例年10月に開催されていましたが、2024年は4月に変更となりました。(来年2025年は再び4月に開催予定とのことです。)今回のCMX Summit 2024は、公式発表によると465名が参加したそうです。過去のイベントと比較すると参加者数は減少傾向にありますが、それでも業界で唯一無二の貴重な場だと感じます。参加者の多くはコミュニティマネージャー、ヘッドオブコミュニティ、コミュニティアナリストなど、何らかのコミュニティ運営に携わる人々だった印象ですね。あと、カンファレンス会場には、コミュニティベンダー(スポンサー)のブースがあります。弊社もブースを出展しました。これらのベンダーの多くは、基本的にオールインワンコミュニティプラットフォームという形で自社プロダクトの訴求をしており、個別に業界や分野に特化した強みをアピールしていました。特にプレイヤーの数という観点ではグローバルを凄く感じましたね。小倉:CMX Summitは、コミュニティ運営のプロフェッショナルが一堂に会する貴重な機会であり、業界の動向を知り、ネットワークを広げる場として重要な役割を果たしていたということですね。また、スポンサー企業にとっても、自社のプロダクトをアピールし、潜在的な顧客とつながる絶好の機会となっているようですね。注目セッション・ワークショップ小倉:CMX Summit 2024では、様々なセッションやワークショップが開催されたと思います。参加されたお2人の視点で、注目したワークショップやセッションについて聞かせてください。羽田:月並みですが面白かったのは、AIをコミュニティマネジメントに活用する方法についてのセッションです。セッションでは、今後コミュニティプラットフォームにAIが組み込まれ、コミュニティマネージャーの業務をサポートするようになるという未来像が語られました。現在は、プラットフォームから離れてChatGPTなどのツールを使う必要がありますが、将来的にはプラットフォーム内でシームレスにAIの支援を受けられるようになる未来に実感が持てましたね。もう少し、AIの先進的な活用事例が紹介されるのではないかと期待されていましたが、実際には比較的基礎的な内容でした。しかし、ChatGPTを使うことでコミュニティマネージャーの業務工数を削減できる具体的な方法や使い方が示されており、参加者の方は目から鱗といった表情を浮かべている方もいらっしゃいました。また、コミュニティのデータ分析に関する内容のセッションも開催され、コミュニティの価値を可視化する方法やUGCの価値を社内で合意形成する重要性が議論されていましたね。コミュニティの価値を定量的に示すことは、コミュニティマネージャーにとって悩みの種となっているようです。これは、KEEN Manager のようなツールを使って実現できる比較的シンプルなテーマですが、カンファレンスでも取り上げられるほど重要なトピックであることを実感しました。小倉:橋本さんはいかがですか。橋本:私は正直なところ、スポンサーブースの対応に手一杯で、セッションにはほとんど参加できなかったんです。しかし、運営側が公式サイトにセッションの動画をアップロードしてくださったおかげで、後日ChatGPTを活用して書き起こしや要約を作成し、キャッチアップすることができました特定のトピックについて深く掘り下げたい場合は、関連部分の書き起こしテキストをChatGPTに与えて、詳しく解説してもらうこともできます。これなら、現地に行かずともセッションの内容を十分に理解できるので、皆さんにもぜひお試しいただきたいと思います。スポンサーを出したコミューンの目的、ブースやグローバルプレイヤーの考察小倉:続いてコミューンさんのCMX Summit 2024にてスポンサーとして出展した目的についてもお聞かせください。橋本:コミューンは、CMX Summit 2024のスポンサーとしてブースを出展しました。コミューンのブースでは、習字を用いて日本語で名前を書くサービスを提供することで、来場者とのコミュニケーションを図りました。他のブースではお土産を配るなどされているブースが多い中、名前を書くことをきっかけに会話が生まれ、コミュニティマネージャーとしての背景や抱えている課題などを聞き出すことができました。参加者は、書いてもらった名前を名札に入れて身につけたり、SNSで共有したりと、コミューンの存在を印象づける効果的な施策だったと思います。今回のコミューンのブース出展の狙いは、グローバルのコミュニティマネージャーが考えていることや直面している課題を理解し、継続的なコネクションを築くことでした。また、グローバルビジネスを展開する上で、コミュニティマネージャーとの対話の機会を持つことも目的の一つでした。今回の出展での気づきは、グローバルのコミュニティマネージャーが抱える悩みは、日本と共通している部分が多いということです。例えば、ツールだけでは解決できない問題に対し、自分のコミュニティのユーザーに向き合うことが何より大切だと考えていたり、データ分析に基づいて施策を打ち、経営陣や他部署を巻き込んでいくことの重要性も認識されていました。一方で、新たにコミュニティマネージャーの孤独感や相談相手の不在といった課題も浮き彫りになりました。事業戦略やプロダクトに関する深い理解が求められる中、気軽に相談できる相手がいないことが、コミュニティマネージャーの負担となっているようです。これらの気づきは、国や企業の枠を超えてコミュニティマネージャーが直面する課題を示しており、業界全体で解決策を模索していく必要性を示唆しているように感じました。また、コミューンのブース出展は、日本企業としての独自性をアピールできたようで、来場者との交流を深める上で重要な役割を果たしていたのではないかと感じます。コミュニティの日米における違い、文化的背景から考察小倉:CMX Summit 2024への参加を通じて、日本とアメリカのコミュニティ運営には大きな違いがあることが明らかになったように思います。コミュニティにおける日米の違いなどについての説明や考察もお願いします。羽田:日本のコミュニティに携わっている人って、アメリカのコミュニティ市場に凄く憧れがあるという肌感があるんですけど、過度に憧れすぎなくてもいいんじゃないか、っていうのが私の意見です。アメリカのコミュニティのやり方を真似したら日本のコミュニティが上手くいくかと言うと、必ずしもそうではないと感じます。日米のコミュニティ事情を比較すると、アメリカではオンラインを中心とした大規模なオープンコミュニティが主流である一方、日本ではオフラインでの交流を重視する比較的小規模なクローズドコミュニティが多いです。これらの違いを踏まえると、アメリカのコミュニティ運営手法をそのまま日本に適用するのは難しいと考えられます。日本のコミュニティ運営は、自国の文化や参加者の特性に合わせて最適化していくことで、日本ならではの発展が期待できるのではないかと思っています。橋本:日本でクローズドなコミュニティが多い理由については、文化的背景があるのではないでしょうか。日本では昔から「村社会」的な考え方が根付いており、コミュニティ内での信頼関係の構築には一定の区切りが必要とされてきました。この意識が、オンラインコミュニティにも影響を与えているのではないかと思います。一方、アメリカでオープンなコミュニティが主流である理由として、経済合理性が挙げられます。情報を広く公開することで、マーケティング効果や事前の商品理解につながり、ユーザー獲得やビジネス拡大に役立つと考えられることが多い印象です。ただし、日本でもコミュニティの一部を公開し、登録者のみが閲覧できる情報を設けるなど、段階的な公開性を持たせる工夫は見られます。完全に非公開にするのではなく、メリットとデメリットを天秤にかけて最適な方法を模索することが大事になりそうですね。これらの違いは、それぞれの国の文化的背景や社会構造に根ざしたもので、画一的なアプローチではなく、それぞれのコミュニティの特性に応じた運営方法が求められているように感じます。一方で、グローバルな視点を取り入れることで、新たな発見やアイデアが生まれる可能性もあります。日本のコミュニティ運営者は、自国の強みを活かしつつ、海外の事例から学ぶことで、より効果的なコミュニティ運営を目指すことができるのではないでしょうか。CMXのここが良かった、ぶっちゃけ期待外れだったこと小倉:CMX Summit 2024に参加して良かった点と期待外れだった点について、参加者としてのお二人の意見を聞かせてください。羽田:良かった点としては、コミュニティに情熱を持つ人々が多数参加していたことですね。コミュニティラバーたちのコミュニティに対する高い熱量を肌で感じることができ、CMX Summitに参加できることを心から楽しんでいる人が多かったと感じました。また、Linkedinでの新しいつながりができたことも良かった点の一つです。日本から参加した人も、ヨーロッパのコミュニティ事情について詳しく話せる人脈ができたと話していました。さらに、CMX Summitを通じてコミュニティの可能性を改めて感じられたことも良かった点です。世界中からコミュニティ運営に携わる人々が集まり、業界の発展に向けて議論を交わす様子は、参加者に勇気とエネルギーを与えてくれたように感じますし、初心者に優しい雰囲気も、CMX Summitの良さの一つでした。コミュニティマネジメントを仕事にしたいと考え始めたばかりの人も、CMX Summitに参加したことで、業界の広がりと奥深さを実感できたはずです。少し残念な点としては、セッションの内容が既知のものも多く、驚くような新しい発見が少なかったことがありますかね。一部の参加者からは、自分が普段実践していることと大差ない内容だったという感想も聞かれました。とはいえ、総じてCMX Summit 2024は業界の第一線で活躍する人たちと交流できる貴重な場でした。自分のコミュニティに関する知識やスキルを磨くのにもピッタリです。来年は皆で参加し、一緒に報告会やワークショップを開催したいですね。橋本:今年のCMX Summitでは、参加者数の減少が少し目につきましたね。過去のイベントと比べると、若干下火になっている印象を受けました。また、セッションの内容についても、自社の事例紹介か抽象的な話が多く、具体的な解決策やフレームワークの提示がなかった印象です。データに基づいた分析や、参加者の状況に応じたアドバイスがあればもっと良かったのではないかと思いますね。一方で、コミュニティの可能性は改めて感じることが出来ました。コミュニティ運営の難しさゆえに、様々な分野でコミュニティの価値を最大化しようとするプレイヤーが増えていますね。参加者数が減っているからこそ、運営側は工夫を凝らし、魅力的なプログラムを提供していく必要があると感じました。小倉:お二人とも、本日はありがとうございました。【無償トライアル実施中】コミュニティのデータ活用・分析にKEEN Manager をKEEN Managerは、スター顧客を育成し、スター顧客を起点にバイラルな新規ユーザー獲得と他の既存ユーザーの成功の支援を実現するマーケティングツールです。導入企業は、KEEN Managerを活用することで社内の複数のツールやSNSなどのインターネット上に散在するエンドユーザーの行動および発信データを統合し、熱量の高いユーザーを発見することができます。KEEN Managerの無償トライアルはこちらから▼%3Cscript%20charset%3D%22utf-8%22%20type%3D%22text%2Fjavascript%22%20src%3D%22%2F%2Fjs.hsforms.net%2Fforms%2Fembed%2Fv2.js%22%3E%3C%2Fscript%3E%0A%3Cscript%3E%0A%20%20hbspt.forms.create(%7B%0A%20%20%20%20region%3A%20%22na1%22%2C%0A%20%20%20%20portalId%3A%20%2223387243%22%2C%0A%20%20%20%20formId%3A%20%22bfb39371-cd7c-470a-8d97-d0ab0e7c31ab%22%0A%20%20%7D)%3B%0A%3C%2Fscript%3E